こんにちは!季節は秋を迎え、食欲がわいています。
秋の果物は、柿、イチジク、梨、ブドウなどたくさんあります。
記事は、栄養価が高く、効果のある秋食材の「柿」と「イチジク」を解説します。果物の栄養素ランキングも記載しています。
管理栄養士・栄養士の知識をぜひ参考にしてください!
1.柿
1-1柿とは?
柿の原産地は中国や日本などの東南アジアになります。そのため、日本では昔から、柿の果実、渋柿、柿の蒂(へた)、柿の葉などが民間薬として利用されています。
日本での主な産地は、和歌山県、奈良県、福岡県、岐阜県になります。
柿は甘柿と渋柿に分けられ、甘柿の種類としては富有柿、次郎柿、駿河柿、御所柿が知られています。
柿の渋味成分のタンニンは、甘柿の場合には成熟するにつれて不溶性のコロイド(水に溶けない状態)になるため渋味を感じることはありません。一方で、渋柿の場合には成熟しても水溶性のコロイド(水に溶ける状態)であるため渋味を感じます。
ちなみに、「酒を飲む前に柿を食べると悪酔いしない」とよく言われますが、柿に含まれるタンニンの作用であると考えられています。
そして、柿の旬は、10~11月になります。品種によっては12月頃が食べごろの場合もあります。
柿には、β-カロテン、ビタミン類(ビタミンA、ビタミンE、ビタミンCなど)、ミネラル類(カリウム、マンガンなど)、食物繊維がとても豊富に含まれています。
特に、柿にはビタミンA、ビタミンCが多いため、抗酸化作用が強い特徴があります。
その上、甘柿のビタミンCは果実に70mg/100gと豊富に入っているが、柿の葉は650mg/100gとさらに大量に含まれています。
1-2.柿の栄養と効果
柿は、ビタミンA、ビタミンCが多く、抗酸化作用の高い果物として知られています。また、活性酸素の分解に関わるマンガンというミネラルを豊富に含んでいます。
そのため、柿は美容や老化防止に必要な栄養素がたくさん摂取できる果物になります。
この記事では柿の重要な栄養素3つ(ビタミンA、ビタミンC、マンガン)を詳しく解説します。
1-2-1.ビタミンA
柿100gあたりには、35µgのビタミンAが含まれています。ビタミンAは、成人の男性で850µg/日、女性で650µg/日程度が必要になります。
ビタミンAが豊富に含まれていると言っても必要量を満たすことはできません。しかし、栄養素は多様な食材から摂取することが大切になります。柿は果物の中では、ビタミンAが多く含まれており、ビタミンAの補給ができる食材だと思います。
ビタミンAの効果としては、➀皮膚などの粘膜の維持、➁視覚機能の維持、➂発がんの抑制、➃成長の促進、➄抗酸化作用などがあります。
また、ビタミンAの発がん抑制作用や抗酸化作用は、ビタミンA前駆体のβ-カロテンなどの作用が関係しています。
ちなみに、柿100gあたりには、420µgもβ-カロテンが含まれていますよ!
1-2-2.ビタミンC
柿100gあたりには、70mgのビタミンCが含まれています。ビタミンCは、成人の男性と女性で100mg/日が必要と言われています。
つまり、柿140g程度(中位の柿)を食べると、ビタミンCの1日の必要量を摂取することができます。
そのため、柿はビタミンCの供給源としてとても優れていると思います。
ビタミンCの効果として、➀抗酸化作用がある、➁皮膚や血管を丈夫に保つ、③抗ストレスホルモンを生成する材料になる、➃非ヘム鉄の吸収を促進する、⑤免疫力を強化し、風邪を予防するがあります。
1-2-3.マンガン
柿100gあたりには、0.50mgのマンガンが含まれています。マンガンは、成人の男性で4.5mg/日、女性で3.5mg/日が必要になります。
もちろん、柿だけでは、マンガンの必要量を満たすことはできません。それでも、柿はパイナップルに次いでマンガンの含有量が多い果物になります。
マンガンの効果として、➀骨形成の促進、➁エネルギーの供給、➂活性酸素の分解を促すがあります。
活性酸素は、老化や美容に関わるので、マンガンを積極的に摂取したいですね。
2.イチジク
2-1. イチジクとは
イチジクは、クワ科イチジク属の落葉樹木、あるいはその果実になります。イチジクの原産地は地中海沿岸であり、西洋では古くから好んで食べられています。
地中海沿岸の干しイチジクは有名ですね!
外国ではアメリカのカリフォルニア州や地中海沿岸諸国で生産されており、日本の産地は主に愛知県、和歌山県、福岡県、兵庫県になります。
イチジクは、夏あるいは秋に実がなりますが、秋果のものは8月~10月頃が食べごろになります。
そして、あまり知られていませんが、イチジクはとても魅力的な栄養素が含まれる果物になります。
イチジクには、ミネラル類(カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄分、亜鉛など)や食物繊維が多く入っています。
また、イチジクにはたんぱく質分解酵素のフィシンが多く含まれます。フィシンには食後の消化を促す作用があり、積極的に補給したい成分ですね。
その上、イチジクの果肉の色素はアントシアニンになります。
2-2. イチジクの栄養と効果
イチジクは、カルシウムや鉄分などが摂取できる点で、先ほど紹介した柿とは異なる特徴のある果物になります。
イチジクの重要な栄養素として、カルシウム、鉄分、食物繊維の3つを解説します。
イチジクは不足しやすい栄養素を効率的に補給できる果物なので、皆さんに知っていただけたら嬉しく思います。
2-2-1.カルシウム
イチジク100gあたりには、26mgのカルシウムが含まれています。カルシウムは、成人の男性で800mg/日、女性で650mg/日が必要になります。
一般的に、カルシウムが豊富なイメージがある牛乳100mlあたりでさえ、110mgほどのカルシウムしか含まれていません。
そのため、カルシウムは不足しやすい栄養素として知られています。
カルシウムが不足すると、骨折や骨軟化症、骨粗鬆症を起こしやすくなります。成長期では、歯の質が悪くなり、あごの発達が遅れます。他にも、イライラしやすくなる、肩こりや腰痛などを起こしやすくなります。さらに、高血圧や動脈硬化の原因にもなります。
イチジクを食生活に取り入れて、普段より少し多くカルシウムを補給できると嬉しいですね。
カルシウムの効果としては、➀骨や歯の形成、➁血液凝固、➂筋肉の収縮、➃神経の刺激伝達、➄酵素の活性化などがあります。
2-2-2.鉄分
イチジク100gあたりには、0.3gの鉄分が含まれています。鉄分は、成人の男性で約7mg/日、女性で約6mg/日が必要と言われています。
鉄分も不足しやすい栄養素として知られています。鉄分が不足すると、鉄欠乏性貧血や作業能力低下、倦怠感、動悸、食欲不振、頭痛、免疫機能の低下、妊娠への悪影響が起こります。
鉄分は、➀組織への酸素の運搬や保持、➁ATP合成など酸化還元反応を促す効果があります。
2-2-3.食物繊維
イチジク100gあたりには、1.9gの食物繊維(水溶性食物繊維が0.7g、不溶性食物繊維が1.2g)が含まれています。食物繊維は、成人の男性で約20g/日、女性で約18g/日が必要と言われています。
イチジクは食物繊維を1.9mg摂取でき、食物繊維の供給源として優れていると思います。
食物繊維の効果としては、➀便秘の防止、➁腸内環境の改善、➂悪玉コレステロールの排斥促進などがあります。
3.果物の栄養素ランキングトップ10!
記事で紹介させていただいた「柿」と「イチジク」の栄養価を他の果物と比べてみました。
柿とイチジクの100gあたりにどのくらい豊富に栄養素が含まれているのか?分かるように、各栄養素のランキングTop10を調べました。
3-1.エネルギー源+食物繊維が豊富な野菜!
表:エネルギー源+食物繊維(食材100gあたり)
エネルギー源をみると、エネルギーは柿7位、炭水化物は柿7位、食物繊維はイチジク10位になります。
3-2.ミネラル類が豊富な野菜!
表:ミネラル類ランキング(食材100gあたり)
次にミネラル類をみると、カルシウムはイチジクが4位、マグネシウムはイチジク7位、鉄分はイチジク10位、亜鉛はイチジク4位、マンガンは柿2位にランクインしています。
3-3.ビタミン類が豊富な野菜!
表:ビタミン類ランキング(食材100gあたり)
さらに、ビタミン類をみると、β-カロテンとビタミンAは柿8位、ビタミンCは柿2位に入っています。
*栄養素の含有量が同じ場合、五十音順で表記しています。
参考:http://www.eiyoukeisan.com/
4.まとめ
柿とイチジクは、他の果物と比べても栄養価が高く、栄養素ランキングにも入っていますね。
柿には、抗酸化作用のある栄養素(β-カロテン、ビタミンA、ビタミンC)や活性酸素の分解に関わるマンガンが多く含まれています。夏に紫外線を受けていると、活性酸素が生産されていると思うので、柿を摂取して美容や老化防止に活用してくださいね。
イチジクには、カルシウム、鉄、食物繊維などが豊富に入っています。カルシウムや鉄は不足しやすい栄養素なので積極的に取り入れたい秋の食材だと思います。食物繊維も豊富なので、便秘の防止や腸内環境(腸内フローラ)を整える働きにも期待できると思います。
最後に、季節は秋を迎えて、美味しい食材が多く、食欲がわくと思います。そんな季節には、秋の食材として栄養価が高く、効果がある「柿」と「イチジク」がおすすめの果物になります。
ぜひ、皆さんの食生活に秋の食材を取り入れて、秋の味覚を味わいましょう。