こんにちは!暑い季節になりましたね。
夏が旬の果物はスイカ、ブドウなどがあります。
前編は、栄養価が高く、効果的な夏の果物のパイナップルとスイカを解説します。夏バテ対策にもなります。
管理栄養士の知識を参考にしてください!
1.パイナップル
1-1.パイナップルとは?
パイナップルの原産地は南米大陸になります。そのため、タイ、フィリピン、インド、ブラジルなどの熱帯地方で主に栽培されています。日本でも沖縄県や鹿児島県で生産されています。
国産のパイナップルの食べごろは、5~7月になります。
パイナップルは、甘味があり、ビタミン類(ビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンCなど)、ミネラル類(マグネシウムやマンガンなど)がとても豊富に含まれています。また、パイナップルにはたんぱく質分解酵素のブロメラインが多く含まれます。ブロメラインは、肉類の消化を助けます。
パイナップルは生食だけでなく、缶詰や炒め物にも使用されています。
1-2.パイナップルの栄養と効果
パイナップルは栄養価の高い果物として知られています。すべての栄養素を詳しく紹介すると、とても長くなってしまうので、パイナップルの重要な栄養素を3つ解説します。
1-2-1.ビタミンB1
パイナップル100gあたりには、0.08mgのビタミンB1が含まれています。ビタミンB1は、成人の男性で1.4mg/日、女性で1.1mg/日が必要になります。
ビタミンB1が豊富に含まれていると言っても、1日の必要量を満たすことはできません。しかしながら、栄養素は多様な食材から摂取することが大切になります。パイナップルは果物の中では、ビタミンB1が多く含まれており、ビタミンB1の補給ができる食材の1つだと思います。
ビタミンB1の効果には、➀補酵素として、糖質や分岐鎖アミノ酸代謝に関わり、エネルギーを作る、
➁脳や神経を正常に保つなどがあります。
ビタミンB1はエネルギー産生には欠かせない栄養素になります。ビタミンB1を摂取して、代謝を促し、疲労回復を効率よく行いましょう。
1-2-2.ビタミンC
パイナップル100gあたりには、27mgのビタミンCが含まれています。ビタミンCは、成人の男性と女性で100mg/日が必要と言われています。
パイナップルはビタミンCを27mg摂取でき、ビタミンCの供給源として優れていると思います。
ビタミンCの効果として、➀抗酸化作用がある、➁皮膚や血管を丈夫に保つ、➂抗ストレスホルモンを生成する材料になる、➃非ヘム鉄の吸収を促進する、➄免疫力を強化し、風邪を予防するがあります。
1-2-3.マンガン
パイナップル100gあたりには、0.76mgのマンガンが含まれています。マンガンは、成人の男性で4.5mg/日、女性で3.5mg/日が必要になります。
もちろん、パイナップルだけではマンガンの必要量を満たすことはできません。それでも、パイナップルはマンガンの含有量が最も多い果物になります。パイナップルは、マンガンの供給源としてとても優れていると思います。
マンガンの効果は、➀骨形成の促進、➁エネルギーの供給、➂活性酸素の分解を促すなどがあります。
活性酸素は、老化や美容に関わるので、マンガンを積極的に摂取したいですね。
2.スイカ
2-1.スイカとは?
スイカの原産地は南アフリカになります。スイカはウリ科に属し、栄養学上では果物に分類されます。ただし、スイカは園芸分野では野菜に分けられています。
スイカは日本全国で栽培されており、6~8月が食べごろと言われています。
スイカは甘味が強く、スイカの赤色はリコピンやβ-カロテンになります。また、スイカは91%が水分であり、ビタミン類(ビタミンAやビタミンB6など)が多く含まれています。果物類はカリウムが豊富な食材であり、スイカにも入っています。その上、スイカにはアミノ酸のシトルリンも含まれています。
スイカは、生食の他に、果皮や幼果が漬物やピクルスなどに使用されています。
2-2.スイカの栄養と効能
2-2-1.ビタミンA
スイカ100gあたりには、69µgのビタミンAが含まれています。ビタミンAは、成人の男性で850µg/日、女性で650µg/日程度が必要になります。
ビタミンAの効果としては、➀皮膚などの粘膜の維持、➁視覚機能の維持、➂発がんの抑制、➃成長の促進、➄抗酸化作用などがあります。
また、ビタミンAの発がん抑制作用や抗酸化作用は、ビタミンA前駆体のβ-カロテンなどの作用も関係しています。
2-2-2.β-カロテン
β-カロテンは、ビタミンA前駆体(プロビタミンA)として知られています。スイカ100gあたりには、830µgのβ-カロテンが含まれています。他の果物と比べても、スイカには、比較的多くβ-カロテンが含まれていることで知られています。
β-カロテンの働きは、ビタミンAの健康効果だけではありません。β-カロテンは、強力な抗酸化作用があり、活性酸素を消去することで、生活習慣病の予防も期待できます。β-カロテンに限った効果として、➀抗酸化作用がある、➁発がんを抑制する、➂動脈硬化を予防するなどがあります。
2-2-3.リコピン
リコペンはスイカ、トマト、柿などの赤い色素であるカロテノイドの一種になります。先ほど紹介したカロテノイドのβ-カロテンと異なり、リコペンはプロビタミンAとしての作用はなく、ビタミンA活性をもちません。
しかし、リコペンはβ-カロテンと同様、高い抗酸化作用があります。リコペンは、活性酸素のうち、一重項酸素を消去する働きが最も強いと言われています。
リコペンの効果としては、➀抗酸化作用がある、➁発がんを抑制する、➂動脈硬化の予防があります。
β-カロテンやリコペンは、生活習慣病の予防のために、積極的に摂取したい栄養素だと思います。
2-2-4.シトルリン
スイカ100gあたりには、180mgのシトルリンが含まれています。
シトルリンは、肝臓でオルニチンやアルギノコハク酸などと共に、尿素回路(オルニチン回路)により、尿素を生成する役割を担っています。シトルリンにより腎機能が高まり、腎臓から効率的に水分を排斥できます。そのため、シトルリンはむくみを予防・改善する効果があります。
また、消化管においてもシトルリンは合成されています。生じたシトルリンは、血液により腎臓・脳へと運ばれます。腎臓へ運ばれたシトルリンは、アルギニンに変換されて、他の組織でたんぱく質合成に利用されます。
一方で、脳では、シトルリンからアルギニンを合成したのち、アルギニンが一酸化窒素(NO)合成酵素により、再びシトルリンとNOに変換されます。NOは、脳において記憶形成に関わる神経伝達物質として知られています。
さらに、シトルリンは保温作用のあるアミノ酸であり、美肌効果も期待できます。
シトルリンの効果をまとめると、➀むくみを予防・改善する、➁記憶形成に関与する、➂肌の美しさを保つなどがあります。
栄養素以外にも、スイカは水分割合が高く、暑い時期に水分補給としても食べるのもいいと思います。スイカは塩をかけて食べることが多いので、クールダウンできて、夏バテに効果的な果物だと言われています。
興味を持たれた方は、後編の記事も読んでみてください!!
夏が旬の果物のラズベリーと果物の栄養素ランキングを載せています。