こんにちは!季節は秋を迎え、食欲がわいています。
秋の野菜はかぼちゃ、人参、かぶなどたくさんあります。
前編は、栄養価が高く、効果のある秋の食材のかぼちゃ、人参を解説します。
管理栄養士・栄養士の知識をぜひ参考にしてください!
1.かぼちゃ
1-1.かぼちゃとは?
かぼちゃ(南瓜)は、ウリ科カボチャ属の果菜の総称になります。
かぼちゃの原産地は南北アメリカ大陸になります。日本では、北海道で生産量が最も多く、鹿児島県や茨城県が続きます。
かぼちゃは、7~8月に収穫されて、2~3か月ねかせてた頃が食べごろになります。それゆえ、かぼちゃの旬は秋から冬になります。
また、かぼちゃには日本かぼちゃ、西洋かぼちゃ、ペポかぼちゃの3種類があります。
日本かぼちゃは、果肉に水分が多く、粘質があり、煮物に適しています。
一方、西洋かぼちゃは、果肉に水分が少なく、炭水化物を多く含み甘味が強い特徴があります。
なお、そうめんかぼちゃ(金糸瓜)やズッキーニはペポかぼちゃの一種になります。
緑黄色野菜のかぼちゃは、他の野菜と比べて炭水化物(特に糖質)が多く、β-カロテン、ルテイン、ビタミン類(ビタミンA、ビタミンE、ナイアシン、ビタミンCなど)、ミネラル類のカリウム、食物繊維などの栄養素が豊富に含まれます。
その上、かぼちゃは種類よって栄養価も大きく異なります。
日本かぼちゃと西洋かぼちゃを比較すると、西洋かぼちゃの方が炭水化物、β-カロテン、ビタミンC、ビタミンEが多く含まれています。
ちなみに、カロテン含量は西洋かぼちゃの方が5倍も多くなります。
そのため、この記事では「西洋かぼちゃ」の栄養と効果について解説してゆきます。
1-2.かぼちゃの栄養と効能
かぼちゃは、炭水化物が豊富でエネルギーの補給ができる秋の野菜になります。そして、多様な栄養素が含まれています。
すべてを紹介すると、とても長くなってしまうので、かぼちゃの重要な栄養素6つ(炭水化物、ビタミンA、β-カロテン、ビタミンE、ビタミンC、ナイアシン)を紹介させていただきます。
1-2-1.炭水化物
かぼちゃ100gあたりには、21.3gの炭水化物が含まれています。そのため、野菜類の中でもカロリーが高い食材になります。
ちなみに、かぼちゃ100gあたりのカロリーは93kcalであり、そのうち炭水化物で85.2kcalあります。
一般的に、1日に必要なエネルギー量は18歳以上の男性が約2500kcal/日、女性が約2000kcal/日になります。
そう考えると、かぼちゃのカロリーはとても低いですね。あくまでも、かぼちゃは野菜の中で炭水化物が多く含まれ、カロリーが高い食材ということになります。
かぼちゃは少し多めにエネルギーを補給したいときに有効な食材だと思います。
1-2-2.ビタミンA
かぼちゃ100gあたりには、330µgのビタミンAが含まれています。ビタミンAは、成人の男性で850µg/日、女性で650µg/日程度が必要になります。
ビタミンAの効果としては、➀皮膚などの粘膜の維持、➁視覚機能の維持、➂発がんの抑制、➃成長の促進、➄抗酸化作用などがあります。
また、ビタミンAの発がん抑制作用や抗酸化作用は、ビタミンA前駆体のβ-カロテンなどの作用が関係しています。
そのため、次にβ-カロテンの効果を詳しく解説します。
1-2-3.β-カロテン
β-カロテンは、ビタミンA前駆体(プロビタミンA)として知られています。かぼちゃ100gあたりには、4,000µgもβ-カロテンが含まれています。
β-カロテンの働きは、ビタミンAの健康効果だけではありません。
β-カロテンには、強力な抗酸化作用があり、活性酸素を消去することで、生活習慣病の予防も期待できます。
そのため、β-カロテンに限った効果として、➀抗酸化作用がある、➁発がんを抑制する、➂動脈硬化を予防するなどがあります。
1-2-4.ビタミンE
かぼちゃ100gあたりには、4.7mgのビタミンEが含まれています。ビタミンEは、成人の男性で6.5mg/日、女性で6.0mg/日が必要になります。
ビタミンEが豊富に含まれていると言っても必要量を満たすことはできません。しかし、栄養素は多様な食材から摂取することが大切になります。
かぼちゃは野菜の中では、ビタミンEが多く含まれており、効率よくビタミンEの補給ができる食材だと思います。
ビタミンEの効果としては、➀抗酸化作用がある、➁活性酸素を除去する、➂毛細血管の血行促進などがあります。
ビタミンEは、毛細血管の血行を促すため、しもやけの改善に効くと言われています。それゆえ、ビタミンEは冷え性や血行が悪い方におすすめの栄養素だと思います。
1-2-5.ビタミンC
かぼちゃ100gあたりには、32mgのビタミンCが含まれています。ビタミンCは、成人の男性と女性で100mg/日が必要になります。
ビタミンCの効果として、➀抗酸化作用がある、➁皮膚や血管を丈夫に保つ、➂抗ストレスホルモンを生成する材料になる、➃非ヘム鉄の吸収を促す、➄免疫力を強化し、風邪を予防するなどがあります。
なお、ビタミンCはビタミンA(β-カロテンも含む)やビタミンEと同様に抗酸化作用がありますが、かぼちゃにはビタミンC、ビタミンA、ビタミンEがすべて豊富に含まれています。
そして、これらの栄養素には相乗効果があるため、かぼちゃはより強い抗酸化作用が期待できます。
1-2-6.ナイアシン
かぼちゃ100gあたりには、1.5mgのナイアシンが含まれています。ナイアシンは、成人の男性で15mg/日、女性で11mg/日が必要と言われています。
かぼちゃはナイアシンを1.5mg摂取でき、ナイアシンの供給源として望ましいと思います。
ナイアシンの効果として、➀糖質・脂質・たんぱく質の代謝に関わる、➁アルコールの分解を助ける、③血行を促進する、④脳神経の活性化などがあります。
2.人参
2-1.人参とは?
人参は、セリ科ニンジン属の野菜であり、代表的な緑黄色野菜として知られています。
人参の原産地はアフガニスタン周辺になります。その後、人参はオランダからイギリスへ伝わった西洋系(金時人参など)と中国など東方へと伝わった東洋系(三寸人参、五寸人参など)の2種類に分かれます。
日本では、北海道で生産量が最も多く、千葉県や徳島県が続きます。
人参は通年産地を代えて市場に出回っていますが、9月~12月頃が甘味や栄養成分の面から食べごろの時期になります。
そして、緑黄色野菜の人参には、β-カロテン(ビタミンA前駆体)、リコペン、ビタミン類のビタミンAなどの栄養素が多くに含まれます。
ちなみに、西洋系の人参にはα-、β-、γ-カロテンなどのカロテン類が多く含まれています。
一方で、東洋系の金時人参にはリコペンやキサントフィル類、アントシアニン類が豊富に含まれている特徴があります。
しかしながら、人参にはリポキシゲナーゼという酸化酵素もあるため、おろして放置するとビタミンA前駆体のカロテンが酸化されてしまいビタミンAの効力が低下してしまい注意が必要になります。
2-2.人参の栄養と効果
人参はかぼちゃほど多様な栄養素を含んではいませんが、ビタミンAとβ-カロテンはかぼちゃと比べて多く入っています。
そして、人参には特徴的な機能成分のリコペンが多く含まれており、詳しく紹介したいと思います。
*ビタミンAとβ-カロテンの効果は、「 1-2.かぼちゃの栄養と効能」で解説したため、省略します。
2-2-1.リコペン
リコペンは、トマト、スイカ、カキ、かぼちゃなどの赤い色素であるカロテノイドの一種になります。
カロテノイドのリコペンはβ-カロテンと異なり、プロビタミンAとしての作用はなく、ビタミンA活性をもちません。
しかし、リコペンはβ-カロテンと同様に高い抗酸化作用があります。リコペンは、活性酸素のうち、一重項酸素を消去する働きが最も強いと言われています。
リコペンの効果としては、抗酸化作用による発がんの抑制や動脈硬化の予防などがあります。
生活習慣病の予防のために、積極的に摂取したい栄養素の一つだと思います。
最後に、興味を持たれた方は、「後編の記事」も読んでみてください!!
秋の食材の「かぶ」と野菜の栄養素ランキングを載せています。