銅は、ヘモグロビン合成やコラーゲン生成に関与します。
銅は、貧血の人、骨が弱い人、成長期の子どもにおすすめの栄養素になります。
記事は、銅の多い食品を紹介しています。
たった3分で銅の疑問を解決できると思います。
1.銅とは
成人の身体には、約80mgの銅が存在しています。そのうち、銅の約50%は筋肉や骨中、8~10%は肝臓に含まれています。血清中の銅濃度は、成人の男性は70~130µg/dl、女性は50~140µg/dlに保たれています。
血清中の銅の約95%は銅輸送たんぱく質の*セルロプラスミンと強く結合し、残りの銅はアルブミンと弱く結合しています。
*セルロプラスミンは、ヘモグロビンの合成、2価鉄から3価鉄への変換、貯蔵鉄(2価鉄)のアポトランスフェリンへの結合に必要となります。
1-1.銅の必要量
銅の推定平均必要量は、銅の摂取量と生体の銅濃度との関連を調べた結果より算定しています。
銅の推奨量は、成人の男性が0.9mg/日、女性が0.8mg/日になります。
表:銅(mg/日)の推奨量
年齢 | 男性 | 女性 |
0~5(月) | – | – |
6~11(月) | – | – |
1~2歳 | 0.3 | 0.3 |
3~5歳 | 0.4 | 0.4 |
6~7歳 | 0.5 | 0.5 |
8~9歳 | 0.6 | 0.5 |
10~11歳 | 0.7 | 0.7 |
12~14歳 | 0.8 | 0.8 |
15~17歳 | 1.0 | 0.8 |
18~29歳 | 0.9 | 0.8 |
30~49歳 | 1.0 | 0.8 |
50~69歳 | 0.9 | 0.8 |
70歳以上 | 0.9 | 0.7 |
妊婦(付加量) | +0.1 | |
授乳婦(付加量) | +0.5 |
2.銅の効果
銅は、銅結合たんぱく質(セルロプラスミン、トランスクプレイン、メタロチオネイン、血液凝固第Ⅴ因子やⅧ因子など)の非酵素的機能、*スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)などの銅含有酵素として働きます。
そして、銅はヘモグロビンの合成、コラーゲンやエラスチンの生成による骨や血管壁の強化、生体防御機構、白血球細胞の成熟、乳児の成長、血液凝固、メラニン色素の生成などに関与しています。
銅の効果をまとめました。
➀造血を促す
➁骨や血管壁を強化する
➂免疫力を高める
➃成長を促進する
➄髪や皮膚の色を保つ
*スーパーオキシドジスムターゼは、活性酵素のスーパーオキシドを除去する反応を触媒する酵素のことをいいます。
3.銅の欠乏症と過剰症
3-1.銅の欠乏症
銅が欠乏すると、ヘモグロビンの合成が阻害され、鉄投与に反応しない貧血が生じます。
また、銅が欠乏すると、骨や皮膚の異常、心血管系の異常、易感染症、白血球の減少、成長障害、毛髪の色素脱失などがみられます。
遺伝性の銅欠乏症としては、先天的代謝異常症のメンケス病(銅の吸収不全)が知られています。
3-2.銅の過剰症
銅は毒性が弱く、一般的に過剰症の心配はありません。銅鍋などで酸性食品を調理すると、銅鍋の銅が溶け出して、銅の過剰摂取になることはあります。
遺伝性の銅過剰症は、先天的代謝異常症のウィルソン病(銅の排斥過程の異常)が知られています。
ウィルソン病は、思春期以降に発症し、肝硬変、中枢神経障害、腎尿細管障害やウィルソン病に特有の角膜のカイザー・フライシャー輪などの症状がみられます。
4.銅の多い食品
食べ物に含まれる銅のうち、主に十二指腸で55~75%が吸収されます。銅は、魚介類、豆類、種実類に多く含まれています。
表:銅の多い食品
ただし、銅の吸収は、亜鉛、ビタミンC、ビオチン、食物繊維により阻害されてしまいます。