必須アミノ酸はヒスチジンやバリンなど9種類あります。必須アミノ酸の効果や不足時の症状を記載しています。
また、アミノ酸スコアが高い食品も紹介します。
この記事を読んでいただくと、必須アミノ酸の疑問を解決できると思います。
1.必須アミノ酸とは
私たちの身体は、約10万種類のたんぱく質からなりますが、これらはすべて20種類のアミノ酸から作られています。
そのうち、身体には必要であるが、体内で合成することができず、あるいは必要量を合成できず、
食べ物から摂取しなければならないアミノ酸があり、”必須アミノ酸”と呼ばれています。
1-1.必須アミノ酸と非必須アミノ酸の違い
必須アミノ酸は、体内で合成することができませんが、非必須アミノ酸は、他のアミノ酸や糖質代謝の中間代謝産物から合成できます。
私たちの体たんぱく質合成に必要なアミノ酸は20種類あり、そのうち成人の必須アミノ酸は9種類になります。非必須アミノ酸は残りの11種類になります。
1-2.必須アミノ酸の種類
9種類の必須アミノ酸は、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、バリンになります。
ただし、必須アミノ酸のヒスチジンは、成長期の子どもには必須であるが、成人には必須ではないと考えられています。これは、成人では、体内で充分なヒスチジンを合成できることに由来しています。
また、一部の栄養学者は、アルギニンも必須アミノ酸に含まれると考えています。アルギニンは、男性の精液のアミノ酸の80%を構成しています。アルギニンは体内の尿素回路で生成されますが、生成したアルギニンは尿素とオルニチンに変換されてしまいます。それゆえ、十分な量のアルギニンを摂取しなければなりません。
このように、ヒスチジンとアルギニンは、特定の条件下でのみ必須となるため、条件付き必須アミノ酸と呼ばれています。
2.必須アミノ酸の効果と欠乏時の症状
必須アミノ酸 | 特徴 | 効果 | 欠乏時の症状 |
ヒスチジン | 成長期は必須アミノ酸、成人 は条件付き必須アミノ酸。 塩基性アミノ酸。 |
成長促進 神経機能のサポート 関節炎の症状緩和 |
成長不良 関節の痛み 慢性的な関節リウマチ |
イソロイシン | 体内のたんぱく質の生産、 維持に必要。 疎水性アミノ酸。 |
成長促進 筋肉強化 血管拡張 |
免疫力低下 精神障害 |
ロイシン | 肝機能向上 筋肉強化 |
たんぱく質生産の制限 (疲れやすくなる、 術後の回復遅延など) |
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バリン | 成長促進 筋肉強化 |
成長不良 精神障害 触覚と感覚に影響を及ぼすこともある。 |
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リシン | カルシウムの吸収、 骨や軟骨のコラーゲン生成、 抗体やホルモン、 酵素の生成に関与。 塩基性アミノ酸。 |
肝機能向上 疲労回復 成長促進 集中力向上 |
食欲減退 めまい 吐き気 貧血 集中力の低下 肺炎 腎炎 アシドーシス 子どもの栄養失調やくる病 |
メチオニン | 含硫アミノ酸。 | かゆみや痛みの軽減 コレステロール低下 肝機能の維持 腎臓の保護 毛髪の成長促進 うつ症改善 |
利尿作用低下 むくみ 肝機能障害 子どものリウマチ熱、肝硬変、腎炎 |
フェニル アラニン |
神経伝達物質の生成に関与。 芳香族アミノ酸。 |
抗うつ作用 精神高揚 鎮痛作用 |
気分の落ち込み |
トレオニン | コラーゲン、エラスチン、 歯のエネメル質生成に関与。 ヒドロキシアミノ酸。 |
脂肪肝の防止 成長促進 |
食欲不振 貧血 成長障害 子どもが短気になる |
トリプトファン | セロトニンの生成に必要。 芳香族アミノ酸。 |
不眠を和らげる 抗うつ作用 不安や緊張の緩和 更年期障害の改善 禁煙補助 |
睡眠障害 精神不安定 うつ病 PMS(月経前症候群) アルコール中毒 暴力 自殺 |
3.アミノ酸スコア
アミノ酸スコアは、食品のたんぱく質の*第一制限アミノ酸含有量が、そのアミノ酸評点パターンの何%になるかで表わされます。食品中に*制限アミノ酸がなければ、アミノ酸スコアは100になります。
もし、必須アミノ酸のうちバリンのみが不足していると、アミノ酸スコアはバリンの量に制限されてしまいます。図のように、他のアミノ酸は必要量を満たしていても、バリンのアミノ酸スコアが80なら、樽の水は80%まで減少します。
図:アミノ酸スコアについて
また、第一制限アミノ酸があり、アミノ酸スコアが100でない食品は、第一制限アミノ酸が多く含まれる食品を加えるとバランスがよくなります。これを、アミノ酸の補足効果といいます。
*第一制限アミノ酸は、食品の中で最も不足している必須アミノ酸のことをいいます。
参考:
http://www.st38.net/kinniku/z0814.html
4.必須アミノ酸が多い食べ物
アミノ酸スコアが高い食べ物は、肉類、魚類、卵、豆類であり、殆どアミノ酸スコア100になります。
一方で、穀類やナッツはリシンが不足し、マメ科植物はメチオニンが不足し、トウモロコシはリシンやトリプトファンが不足しています。
穀類やナッツにリシンを多く含む肉や魚を組み合わせて食べると、補足効果で栄養価が改善されます。
表:主な食品のアミノ酸スコア