チアシードとキヌアはどちらもスーパーフードですが、2つの食材の栄養・効果・レシピなどを比べたことはありますか?
フラックスシード(亜麻仁の種)、ヘンプシード(麻の実)、小麦胚芽、ザクロなどはよく比較されているのに、チアシードとキヌアの共通点・類似点はあまり言及されてませんよね。
チアシードとキヌアは両方とも栄養価が高く、沢山の効果があり、レシピ本が多数出版されている点で共通していますが、異なる点もあります。
そこで本日は、チアシードとキヌアを徹底比較したいと思います。
具体的に、
といった項目についてお話します。どちらの食品を食べるべきか判断する際に活用してください。
チアシードとは?
チアシードの原産地はメキシコです。メキシコでは古くから主食のひとつでした。現在は、世界各国で栽培されており、生産量ではオーストラリアがトップになっています。
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チアシードはシソ科サルビア属の「チア」という植物の種子のことでミントの仲間です。風味は無味無臭で、どんな食べ物や飲み物とも相性が良いです。
チアシードは各栄養素のバランスがよく、健康の為に積極的に摂取したい食品です。
チアシードの主な栄養と効能は以下の通りです。
- オメガ3脂肪酸(n-3系脂肪酸)のα-リノレン酸(ALA): 乳がんのリスクを下げる作用や心臓の健康を維持する作用があります。
- 食物繊維: 食物繊維を食べると満足感が得られます。ダイエット効果や腸の働きを改善する効果があります。
その他に、タンパク質、カルシウム、亜鉛、銅、鉄、リン、マンガン、マグネシウム、ビタミンなど、骨や歯の健康に欠かせない栄養素が含まれます。
ただ、チアシードは脂肪酸があるため酸化されやすいのではないかと心配される方が多いと思います。たしかに、チアシードの脂肪酸は酸化を受けやすいですが、抗酸化物質も含まれますから、そんなに急速に酸化されません。ご安心ください。
チアシードは栄養士おすすめの食材としてピックアップされています。さまざまな栄養素をバランスよく摂取できるから納得ですね。また、乳がんや心臓病のリスクを下げる効果がある点も一押しポイントです。チアシードについてもっと知りたい方は『【即解決】チアシードとは何か!?wikipediaより詳しく解説』を参考にしてください。
しかしながら、チアシードは必ずしも体に良いというわけではありません。例えば、チアシードを食べた後にアレルギーを起こすことや服用中の薬と相互作用を起こすことがあります。ですから、食事に取り入れる前に、チアシードの副作用について知っておくことは大切だと思います。
キヌアとは?
キヌアはヒユ科アカザ属の「グースフット」という植物から収穫される雑穀です。実は、ほうれん草、ビート、タンブルウィードなどの仲間です。キヌアは穀物として扱われていますが、本当は雑穀に分類されるので擬穀物なんです。
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もともとキヌアを料理に使うことは珍しいことでした。10年ほど前までは、ほとんどの方がキヌアの存在を知りませんでした。ですが、国連食糧農業機関(FAO)が2013年を「国際キヌア年」と定めたことで、知名度が一気に広がりました。
キヌアは栄養豊富で農業生態環境への適応能力が高く、世界の食料安全保障と飢餓の解消に重要な役割を担う食品として注目されています。簡便性が高く、さまざまな効果を得られますから、積極的に摂取したい食品です。
そういえば、最近の動物実験によって、キヌアの抗炎症成分は肥満に伴う炎症の進行を抑制する効果がることが分かりました。抗炎症成分以外には、心臓の健康維持に必須の一価不飽和脂肪酸などが含まれています。また、チアシードほど多くはありませんが、オメガ3脂肪酸のα-リノレン酸(ALA)も少量含まれています。
キヌアはチアシードの代替食材として使用されることが多いですが、チアシードと異なるところは、キヌアは擬穀物ですので、主食として利用しやすい点だと思います。
ここまでチアシードとキヌアの特徴をそれぞれ紹介してきましたが、お次は2つの食品を比較しながら共通点と相違点を掘り下げて解説したいと思います。
チアシードとキヌアの歴史的背景の違い
アステカ王国が繁栄していた頃から、アステカ人はチアシードを食べていたそうです。
それには様々な理由があります。チアシードは賞味期限が長く、少量でエネルギー補給できるため、旅に持って行く食品として最適だからです。また、栄養豊富で効果効能が高く薬として使用され、宗教儀式での供物や通貨としても利用されていました。
このように、チアシードは古くから神聖なものとして珍重されていました。
他方、キヌアはインカ帝国時代から主食として利用されていたそうです。当時は、貴重な食糧として重宝され、「穀物の母」として称えられていました。
チアシードとキヌアの色合いなど見た目の違い
チアシードとキヌアは色合いが異なるのか気になる方は多いと思います。食材の色合いによって料理の印象は変わりますから、何色なのかは重要ですよね。
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結論から先に言うと、チアシードとキヌアは何色かありますが、色のバリエーションはほぼ同じです。
チアシードは黒色・白色・褐色の3種類あります。黒色と白色のチアシードは微妙に栄養価が異なりますが、ほとんどの栄養成分や健康効果は同じです。しかし、褐色のチアシードは未熟な種子であるため、基本的に食べられません。ですから、チアシードは色によって品質を見極めることができ、黒色か白色の商品は高品質、褐色の商品は低品質です。
キヌアは黒色・白色・赤色の3種類あります。キヌアは色によって栄養価や効能に差はなく、3色とも摂取することができます。
従って、チアシードとキヌアはどちらも3色ありますが、使用できるのはチアシードが黒色と白色の2種類、キヌアが黒色・白色・赤色の3種類です。料理の色合いなど見た目を重視される方はキヌアの方が1色多いのでおすすめです。
チアシードとキヌアの栄養や効果の違い
1.チアシードとキヌアはどちらも食物繊維が豊富
チアシードとキヌアは両方とも食物繊維が多いです。ただ、食物繊維の含有量や種類が異なります。
チアシードは他の種子と比べ、1サービング(SV)あたりの食物繊維の割合が圧倒的に高いです。(サービングとは、その食材が各料理の1回当たりに使用される標準的な量のことです。)
チアシードを食べて満足感を得られるのは食物繊維があるからです。お腹いっぱいに感じ、食事量が減るため、ダイエットに役立ちます。
キヌア(乾燥した状態)は食物繊維が10~16g/100g含まれます。他の穀物と比べても、キヌアの方が食物繊維が多いです。
しかしながら、チアシードとキヌアは食物繊維の種類が異なります。食物繊維を補給したいときは、キヌアよりチアシードの方が優れています。
なぜなら、健康効果が高いとされている食物繊維は水溶性食物繊維であり、チアシードは水溶性食物繊維、キヌアは不溶性食物繊維が多いからです。
水溶性食物繊維の効能としては、血糖値やコレステロール値の低下、ダイエット効果などがあります。
2.チアシードとキヌアはどちらもタンパク質が豊富
チアシードとキヌアはタンパク質が豊富です。ですから、タンパク質を補給したい方はどちらの食材を選んでも構いません。
チアシードは他の植物の種子と比べ、重要当たりのタンパク質量が多いです。タンパク質含有率はなんと17%に及びます。また、チアシードはタンパク質の量が多いことはもちろん、アミノ酸のバランスも素晴らしいです。
同様に、キヌアはタンパク質が含まれ、必須アミノ酸の量も多いです。ちなみに、炊いた後のキヌアには8g(1カップあたり)のタンパク質が含まれています。(必須アミノ酸とは、体内で生産できないため、食事から摂取しなければならないアミノ酸のことです。)
それに、タンパク質はダイエットに重要な栄養素のひとつです。実際に、タンパク質は食欲を抑える作用があり、食物に対する強迫観念を60%、深夜にお菓子を食べたいという欲求を50%抑えます。。
従って、タンパク質補給のためには、チアシードとキヌアに大きな差はありません。ですが、ダイエット目的であれば、水溶性食物繊維とタンパク質の両方を摂れるチアシードに軍配が上がると思います。
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3.チアシードとキヌアはどちらもミネラルが豊富
チアシードは必須ミネラル(カルシウム、亜鉛、銅、マグネシウム、マンガン、リン)がたっぷり含まれます。カルシウム、リン、マグネシウム、タンパク質などは骨の健康維持に欠かせない栄養素です。
同様に、キヌアはマグネシウム、カリウム、亜鉛、鉄分などが多く含まれます。
チアシードとキヌアの栄養価を比べると、チアシードはカルシウムが多く、骨を健康に保つ作用があります。キヌアはマグネシウムが多く、こちらに関しても骨を丈夫にする作用があります。
ただ、チアシードとキヌアにはたくさんミネラルが含まれますが、注意して欲しいことがあります。
チアシードやキヌアにはフィチン酸が含まれます。フィチン酸は一部のミネラル(鉄分や亜鉛)と結合し、体内吸収を阻害する性質があります。
そのため、チアシードやキヌアの栄養豊富ですが、フィチン酸があるのですべて体内に取り込める訳ではありません。
解決策としては、フィチン酸の含有量を減らすことです。
方法は、キヌアを水に短時間浸し発芽を促すか、長時間(2~4時間)浸し発芽させることです。フィチン酸の含有量が低下し、キヌアの栄養を体に取り込みやすくなります。
4.チアシードとキヌアはどちらも抗酸化物質が豊富
チアシードは種子でキヌアは雑穀です。食材の分類が異なるため全くの別物に思われますが、意外と共通点があると分かってきたと思います。
実際に、どちらの食品も栄養価が高く、含有成分は似ています。摂取する目的も同じことが多く、両方ともダイエットや糖尿病の予防・改善などに有効です。
そして、チアシードとキヌアは抗酸化物質が豊富である点も類似しています。
抗酸化物質は体内のフリーラジカル(活性酸素)を補足します。(フリーラジカルとは、体内の様々な物質に対し非特異的な化学反応をもたらす分子のことで、細胞に損傷させ、老化や癌の原因になるものです。)
また、チアシードは酸化されやすいオメガ3脂肪酸がありますが、抗酸化物質によって酸化を防げます。これがチアシードが長持ちする理由です。チアシードの賞味期限については『チアシードの賞味期限|開封前後で違う?賞味期限切れの見分け方は?』を参考にしてください。
同様に、キヌアは他の疑穀物・穀物・豆類と比べると、抗酸化物質が多いですから、体内のフリーラジカルを抑制できますし、長期保存が可能です。
チアシードとキヌアの食べ方の違い
チアシードとキヌアは食物繊維が多く、ダイエット目的で摂取したいという方がおられると思います。どちらも簡単に調理でき、さまざまな料理に加えることができますから、ダイエットにおすすめの食品です。
チアードとキヌアの食べ方は以下にまとめています。
- チアシード: チアシードはシリアル、サラダ、フルーツ、パスタ、スープにそのまま振りかけて食べます。また、チアシードを水に浸し、とろとろの状態になったものをヨーグルト、ドリンクやスムージーなど飲み物に入れる方もおられます。チアシードは無味無臭ですので、基本的にどんな料理とも相性抜群です。チアシードのレシピを知りたい方は『チアシードの食べ方40選~人気レシピから学ぶスゴイ使い方』を参考にしていただけたら嬉しいです。
- キヌア: キヌアに関してもチアシードと同様の使い方ができます。ただ、キヌアの種皮にはサポニンと呼ばれる苦味成分が含まれており、そのまま食べるよりも、水でゆすいでから食べた方がおいしく召し上がれます。おすすめは、キヌアに沸騰したお湯と塩少々を加えただけの簡単料理です。これが意外と美味しいんです。また、キヌアはチアシードのように水分を吸収する性質があり、ヨーグルトやスムージーなんかともマッチしますよ。
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チアシードとキヌアはどちらを摂取したらいいのか
チアシードは種子、キヌアは雑穀という点を除けば、2つの食品は非常に似ています。
もともと、種子、雑穀、穀物、ナッツは栄養成分が似ていますから、不思議なことではありませんよね。チアシードとキヌアに関しても、栄養価、健康効果、食べ方など共通点が多いです。
もちろん、どちらも栄養豊富な健康食品なので、どっちが良いかということは断言できません。
ただ、チアシードは種子ですので気軽に食事に加えられ、また、水溶性食物繊維とタンパク質の両方あるのでダイエット目的の方におすすめです。
他方、キヌアは雑穀ですので主食として利用しやすく、色が3種類あるので料理の見た目を重視したい方におすすです。
チアシードとキヌアは通販やスーパーでいつでも購入できますが、後々困ることのないように、購入前に注意点や副作用について知っておくといいと思います。チアシードの副作用は『チアシードの6の副作用+簡単な対策』を参考にしてください。