こんにちは!私は、コーヒーが好きで知られています。
コーヒーインストラクター2級も取得しています。
コーヒーは発がん性があるのか、コーヒーを飲むと発がんリスクが低下するのかどちらでしょうか?
コーヒーと膀胱がん・肝がん・大腸がんを解説ます。
3分で読んでいただけると思います。
1.コーヒーの発がん性と発がん物質
1-1.コーヒーと発がん性
コーヒーを飲めば”がん”になると聞いたことはないだろうか。
2016年以前まで、コーヒーはWHO(世界保健機構)の下部組織のIARC(国際がん研究機関)が公開している「IARC発癌性リスク一覧」において、「グループ2B:ヒトに対して発がん性がある可能性がある」に分類されていました。
そのため、コーヒーには発がん性があると思っている人が多くいます。
しかしながら、コーヒーに関する多くの疫学研究や動物実験の新しい結果が反映され、2016年以降、「IARCの発癌性リスク分類」において、「グループ2B」から「グループ3:ヒトに対する発がん性について分類できない」に変更されました。
そして、コーヒーと発がん性についての最新の知見はこのように変りました。
➀膵臓、乳、前立腺の発がん性が否定された。
➁肝臓や子宮内膜がんの発がん性がより低いと証明された。
➂その他のがんに関しては結論を出すのに十分なエビデンス(科学的根拠)がないと分かった。
また、コーヒーがIARCのリストに記載される原因となった膀胱がんのリスクに関しては、未だ発がんリスクが上昇するという報告と、差は認められないという報告の両方があり、結論が出ていません。
1-2.コーヒーと発がん物質
コーヒーと発がん性についてよく議論されるのは、コーヒーにいわゆる発がん物質が含まれていることに由来しています。
コーヒーの発がん物質は、アクリルアミド、カフェ一酸、フラン、アセトアルデヒドなどがあります。
しかしながら、重要なのは発がん物質がコーヒーに含まれている量や状態であって、実際にコーヒーを飲むことで発がんリスクを上昇させるかどうかだと思います。
現在のところ、コーヒー全体として、ヒトに対する発がん性は分類されていないので、それほど発がん物質を気にする必要はないと思います。
2. コーヒーとがん
コーヒーと発がんとの関連は、がんの種類によっても異なります。
先ほどお話ししたように、少し前までは、膵臓や乳の発がん性が報告されていました。しかし、現在は否定されています。また、コーヒーと膀胱がんの発がんリスクについては未だ結論が出ていません。
一方、大腸がん、肝がん、膵臓がん、子宮体がん、口腔・咽頭がんなどに関しては、コーヒーを飲むと発がんのリスクが下がる可能性があると分かっています。
以下に、コーヒーでリスクが下がる可能性が高い肝がんと大腸がんについて、コーヒーとの関係を解説します。
2-1.コーヒーと肝がん
コーヒー常飲者は、肝がん(肝細胞がん)の発症リスクが低下することが、各国の研究グループから報告されており、結果も概ね一致しています。
また、コーヒーと肝がんの研究結果は、メタアナリシス解析からも裏付けされており、コーヒー1杯/日飲むと、肝がんのリスクが23%も低下すると言われています。
厚労省研究班の多目的コホート(JPHC study)などの日本人を対象とした疫学調査においても同様の結果がみられています。
さらには、B型あるいはC型肝炎ウイルスなどのウイルス感染によるウイルス性肝がんであっても、コーヒーを飲むことで発症リスクが低下すると分かっています。
このように、総合的に判断して、コーヒーが肝がんの発症を予防する可能性が高いと思います。
なお、コーヒーによる肝臓への作用メカニズムは解明されていません。
しかし、カフェイン以外のコーヒー成分が肝機能の向上・肝臓の保護に効果があるのではないかと考えられています。
2-2.コーヒーと大腸がん
1988年当初のメタアナリシス解析により、コーヒー常飲が大腸がんの発症リスクを低下させることが報告されていました。
現在は、結論が再評価され、これまで考えられていたほど、大腸がんの発症リスク低下に効果がないと言われています。
ただし、日本人の女性など特定の集団においては、コーヒーを飲むと大腸がんの発症リスクが低下する傾向がみられています。
それゆえ、コーヒーによる大腸がんの発症リスク低下は、以前期待されていたほどではないが、日本人の女性などに限定すると、効果が見込めるのではないかと思います。
今後、よくコーヒーを飲んでおり大腸がん発症リスクが低下した集団の特徴を詳しく解析することで、コーヒーによる大腸への作用メカニズムが解明されるのを期待しています。